夏でも山に雪が残るのはなぜ?

コハク
コハク真夏でも、高い山に白い雪が見えることがありますわね。どうして溶けきらないのでしょう?
30秒でわかる答え
コハク答えは、気温だけではありませんのよ。

高い山は夏でも平地よりずっと涼しく、さらに冬のあいだに風や雪崩で何十mも積もった場所の雪は、夏のあいだに溶けきらないからです。白くきれいな雪は日光の多くをはね返すことも、溶けにくさを助けます。ただし夏の山頂がいつも氷点下近くというわけではありません。

緑の山の谷筋に白く細長く残る雪渓
北アルプスの針ノ木雪渓。緑の季節でも、谷に厚く積もった雪が白く残っています。写真:Alpsdake / CC BY-SA 3.0 / ウィキメディア・コモンズ

高い所ほど涼しい

一般に、高い所ほど気温は低くなります。気象庁の平年値では、富士山頂(標高3776m)の平均気温は7月が約5℃、8月が約6℃、1年を通した平均はおよそマイナス6℃です。真夏でも、ふもとの平地よりずっと涼しいのです。

夏の山頂は氷点下とは限らない

ただし、夏の山頂がいつも氷点下近くというわけではありません。日本でいちばん高い富士山の頂上でも、8月の平均気温は0℃を上回ります。夏まで雪が残るかどうかは、気温だけでなく、冬にどれだけ雪が積もったかにも左右されます。

図:富士山頂の平均気温(平年値)
富士山頂(標高3776m)0℃約5℃約6℃約−6℃7月8月1年の平均真夏の山頂は0℃を上回る

気象庁の平年値。

コハク
コハク夏の山頂がいつも氷点下、というわけではないのですね。

風と雪崩が雪を集める

北アルプスなど日本海側の山では、冬の北西からの季節風が大量の雪を運び、尾根の風下側に吹きだまりができます。そこに斜面から雪崩が集まると、谷の雪は20m以上の深さになることがあります。立山と剱岳の間にある「はまぐり雪」という雪渓(夏まで残る谷の雪)では、1967〜2006年の調べで、6月初めの雪の深さが平均約19m、溶ける季節の終わりの10月初めでも平均約3.5m残っていました。

図:夏を越す雪渓の深さ
「はまぐり雪」の雪の深さ1967〜2006年の平均約19m6月初め約3.5m10月初め溶けきらず秋まで残る

立山カルデラ砂防博物館の調査報告より。

白い雪は光をはね返す

雪の白さも関係します。新しく積もったきれいな雪は、日光の80〜90%をはね返すため、温まりにくい性質があります。ただ、ほこりなどで汚れると反射が弱まり、溶けやすくなります。涼しさ、雪の量、雪の白さがそろうことで、夏の山にも雪が残るのです。

もっと知りたい

  • 地面が雪に覆われていないと、雪があるときに比べて太陽のエネルギーを約4〜6倍多く吸収するとされています。
  • 「はまぐり雪」という名前は、秋まで残った雪渓の形が貝のはまぐりに似ていることから付けられました。
  • 富士山頂の最深積雪の平年値(参考値)は4月が約2mで、8月は0cmです。富士山頂の雪は夏にはほぼ消えます。
コハク
コハク涼しさに加えて、風や雪崩でたくさん積もった場所の雪が、夏を越して残るのですわ。

3択クイズで確かめよう

夏でも山に雪が残るおもな理由は?

答えを見る
  1. 山頂はいつも氷点下だから
  2. 夏の山には日が当たらないから
  3. 涼しく、雪がとても深いから

涼しく、雪がとても深いから 高い山は夏でも涼しく、風や雪崩で何十mも積もった所の雪は溶けきりません。富士山頂でも8月の平均気温は0℃を上回ります。

参考資料

  1. 過去の気象データ検索 富士山(静岡県)平年値(年・月ごとの値)気象庁
  2. 北アルプス「はまぐり雪雪渓」の調査報告 -1967~2006年の年々変動と涵養過程について-(立山カルデラ研究紀要第8号)立山カルデラ砂防博物館
  3. 飛騨山脈北部における“なだれ涵養型”氷河・雪渓の質量収支(日本地理学会発表要旨集)日本地理学会(J-STAGE)
  4. Why Snow MattersNational Snow and Ice Data Center (NSIDC)(英語)

内容は 2026-10-03 時点で上の資料を確認して書いています。研究が進んで説明が変わることもあります。写真のクレジットは各写真の下にあります。