石けんで油汚れが落ちるのはなぜ?

コハク
コハク油汚れのついたお皿、水だけではなかなかきれいになりませんよね?
30秒でわかる答え
コハク石けんの小さな分子の、ひみつのはたらきを30秒でご紹介しますわ。

石けんで油汚れが落ちるのは、石けんの分子が「水になじむ部分」と「油になじむ部分」の両方を持っているからです。油になじむ部分が油汚れを取り囲み、外側に並んだ水になじむ部分のおかげで、汚れは水の中に小さな粒となって散らばります。そのまま水ですすぐと、汚れごと流れていきます。

泡のついた手作りの石けん
泡のついた石けん。石けんの分子が、水と油の両方になじむことで油汚れを落とします。写真:Malene Thyssen / CC BY 2.5 / ウィキメディア・コモンズ

水だけでは油が落ちない

食事のあとの食器や、汗などで汚れた服は、水で洗うだけではなかなかきれいになりません。こうした汚れの主な原因は油です。水と油はふつう混ざらずに分かれてしまうので、水だけでは油汚れを洗い流しにくいのです。

石けんの分子は2つの顔を持つ

石けんの汚れを落とす主な成分は「界面活性剤」です。界面活性剤とは、水と油のように性質のちがうものの境目で働く成分のことです。石けんの分子は、1つの分子の中に、水になじむ部分(親水基)と油になじむ部分(親油基)を持っています。図では、水になじむ部分を丸い頭、油になじむ部分を長いしっぽのように描くことがよくあります。

油汚れを包む「ミセル」

石けん水で油汚れを洗うと、油になじむしっぽが油汚れにくっつき、まわりを取り囲みます。このとき水になじむ頭は外側の水のほうを向いて並びます。こうして、外側に頭、内側にしっぽと油が集まった小さな丸い粒ができます。この粒を「ミセル」といいます。外側が水になじむので、ミセルは水の中に散らばったまま浮かんでいられます。

図:石けんの分子とミセル
石けんの分子水になじむ部分丸い頭油になじむ部分長いしっぽ油汚れを包む「ミセル」油汚れすすぐと汚れごと流れる
コハク
コハク油汚れをくるりと包んだ小さな粒を、ミセルと呼ぶのですね。

すすぐと汚れごと流れる

このまま水ですすぐと、油汚れはミセルの中に包まれたまま、水といっしょに流れていきます。なお、ここで紹介したのは汚れを落とす「洗う」はたらきのしくみです。菌を殺す「殺菌」とは別のはたらきとして区別されています。

もっと知りたい

  • カルシウムやマグネシウムを多くふくむ水(硬水)では、石けんがそれらと結びついて水に溶けないかすになり、汚れを落とせなくなります。合成洗剤は、こうした水でもよく働く洗浄成分として開発されました。
  • 石けん作りはとても古く、紀元前2800年ごろのバビロニアで知られていたことを示す手がかりがあります。はじめは体を洗うためではなく、羊毛の油を落として染めやすくするために使われたと考えられています。
  • 「逆性せっけん」は、ふつうの石けんとは電気の性質が反対の界面活性剤で、洗うためよりも殺菌のために病院などで使われています。
コハク
コハク水になじむ部分と、油になじむ部分。2つの顔を持つ分子のおかげで、油汚れは水で流せるのですわ。

3択クイズで確かめよう

石けんで油汚れが落ちるのはなぜ?

答えを見る
  1. 水と油の両方になじむ
  2. 油をとかして消すから
  3. 泡が汚れを押し出す

水と油の両方になじむ 石けんの分子は水になじむ部分と油になじむ部分を持ち、油汚れを取り囲んで小さな粒にし、水の中に散らばらせて流します。

参考資料

  1. 石けんと洗剤の科学(サイエンスなび)さいたま市健康科学研究センター
  2. 界面活性剤(日本大百科全書〈ニッポニカ〉・改訂新版 世界大百科事典)コトバンク(小学館・平凡社)
  3. Experiment 4: Soaps and Detergents(Chemistry 162 Laboratory Manual)Bellevue College(ベルビュー・カレッジ)(英語)

内容は 2026-10-03 時点で上の資料を確認して書いています。研究が進んで説明が変わることもあります。写真のクレジットは各写真の下にあります。