唐辛子はなぜ辛いの?

コハク
コハク辛いものを食べると、口の中が燃えるよう。熱くないはずなのに、ふしぎですわね。
30秒でわかる答え
コハク辛さの正体を、30秒でまとめましたわ。

唐辛子の辛さのもとは、カプサイシンという成分です。カプサイシンは、口の中の神経にある熱さを感じるセンサーを働かせます。そのため脳は、実際には熱くないのに「熱い・痛い」と受け取ります。辛さは甘さや塩からさのような味ではなく、熱さや痛みに近い感覚なのです。

丸いざるに広げて干された赤唐辛子
ざるに広げて干した赤唐辛子。辛さのもとは、カプサイシンという成分です。写真:Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / ウィキメディア・コモンズ

辛さのもとはカプサイシン

唐辛子の辛さは、カプサイシンという成分によるものです。カプサイシンが口に入ると、焼けるような熱さや、ひりひりする痛みを感じます。カプサイシンが神経に働いて痛みを起こすことは昔から知られていましたが、どのようなしくみなのかは長い間分かっていませんでした。

ノーベル賞につながった発見

1990年代の終わりに、アメリカの研究者デビッド・ジュリアスさんたちは、カプサイシンに反応するたんぱく質を神経から見つけ出しました。のちにTRPV1と名づけられたこのセンサーは、痛いと感じるほどの熱さでも働くことが分かりました。この発見などにより、ジュリアスさんには2021年のノーベル生理学・医学賞が贈られています。

だから「熱い」と感じる

TRPV1は、およそ43℃より熱いものにふれると働く、熱さのセンサーです。カプサイシンは、このセンサーを熱くないのに働かせてしまいます。そのため脳は「熱いものが口に入った」と受け取り、口の中が燃えるように感じるのです。

図:辛さが伝わるしくみ
辛さが脳に届くまでカプサイシン熱さのセンサー TRPV1ふだんは約43℃より熱いと働く脳「熱い! 痛い!」鳥のセンサーはカプサイシンに反応しにくい

数字は本文と同じ、Jordt と Julius の論文(Cell)にもとづきます。

鳥は辛さを感じない

おもしろいことに、鳥は唐辛子の辛さを感じません。ニワトリのTRPV1は熱さには反応しますが、カプサイシンにはほとんど反応しないことが、実験で確かめられています。唐辛子は、種を食べてしまう哺乳類を辛さで遠ざけ、種を遠くへ運んでくれる鳥には食べてもらっている、と考えられています。

コハク
コハク鳥さんは、この辛さを感じないのですね。

もっと知りたい

  • ジュリアスさんたちは、何百万ものDNAの断片の中から、カプサイシンに反応するしくみを作る遺伝子を1つだけ見つけ出しました。
  • ニワトリのセンサーも、熱さや酸には反応します。鳥も、熱いものは熱いと感じていると考えられています。
コハク
コハク辛さは、熱さのセンサーがだまされた感覚。ノーベル賞につながった、身近なふしぎですわ。

3択クイズで確かめよう

唐辛子の辛さは何に近い感覚?

答えを見る
  1. 甘さのような味
  2. 塩からさのような味
  3. 熱さや痛み

熱さや痛み カプサイシンが口の神経にある熱さのセンサーを働かせ、脳は実際には熱くないのに「熱い・痛い」と受け取ります。

参考資料

  1. Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2021The Nobel Assembly at Karolinska Institutet(ノーベル財団)(英語)
  2. Molecular Basis for Species-Specific Sensitivity to "Hot" Chili Peppers (Cell, 2002)Cell(Jordt & Julius, カリフォルニア大学サンフランシスコ校)(英語)

内容は 2026-10-03 時点で上の資料を確認して書いています。研究が進んで説明が変わることもあります。写真のクレジットは各写真の下にあります。